十二星座展『ゾディアック イン マイ ルーム』作品紹介③〈射手・山羊・水瓶・魚〉 | TEAVRIL

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2022.12.31

十二星座展『ゾディアック イン マイ ルーム』作品紹介③〈射手・山羊・水瓶・魚〉

こんにちは。TEAVRILの砂川です。
12月15日〜26日に開催されました展示会『ゾディアック イン マイ ルーム』誠にありがとうございました!
前回に引き続き、出展作家の作品紹介をさせて頂きます。

今回は
射手座・山羊座・水瓶座・魚座
をご紹介します!

〈 射手座 〉

さくらもち

男子学生の射手という、現代的な設定との融合が面白い作品です。
さくらもちさんの描かれる人物のシンプルなつくりながらもチャーミングなこと!
とてもかわいくて印象に残ります。(白くてもちもちとした感じが作家名ともピッタリ*)
“矢を射る”という勇ましいイメージを青基調でまとめてクールに表現しながらも
男の子のやや未成熟な危うさと勇気を感じさせるような、エモーショナルな世界観で魅せていますね。
ドローイングにも登場人物の人生を描いていて、男の子の一日を想起するのが楽しくなります。
深い夜空の青がとても美しく、メイン作品は射手座ともリンクする矢絣のような柄の額合わせも素敵…!
一番大きいメイン作品でも両掌におさまるくらいのサイズ感でお部屋に飾るのにもちょうど良さそう。
色調がまとまっているのでオシャレな雰囲気もあります*
手仕事感を感じるざらついたマチエールもとても素敵なので、ぜひ小さな画面を覗き込んで観ていただきたい作品群です…!

楼鶴

無類の人外好きという楼鶴さんの、唯一無二の世界観とフェティシズムをまざまざと感じられます。
射手という簡単なようで難しいモチーフをどう表現するのか、私もなかなか思いつかなかったのですが
楼鶴さんにしかできない摩訶不思議なキャラクターと解釈で、美しい宇宙を駆ける射手を再現してくれました…!
深く鮮やかに広がる青色がとても綺麗で、キャンバスのざらざらとした目と相俟ってぎらぎらと煌めくような質感を放っています。
デジタル作画プリントの上から、ギルディングキットを使って金箔を施したことで豪華絢爛な雰囲気がグッと高まりました。
主に金を施したのが画面上のコマの枠線なのも、デジタルの無機質な美しさやエッジの強さを高めているように思います。
漫画のような構成が面白く、ミステリアスな世界観とキャラクターを紐解いてみたくなりました!
サブ作品でも楼鶴ワールドを余すことなく表現し、箔の無骨さがまた力強くとても印象的な作風でした。

〈 山羊座 〉

つるたさや

普段はかわいい動物やキャラクターチックな作風が多いイメージでしたので、今回つるたさんの人物作品を観られて新鮮で嬉しい気持ちになりました!(しかしあくまでも人ではないという話を聞いて、ご自身の制作ポリシーや設定像をしっかり持っていることにも感心)
写真では全然伝わりませんが、デジタル作画プリントの上からラインストーンやパールといった装飾を緻密に施し、遠くからでも光を受けてキラキラと煌めいているのがわかりとても目を引きました。
その加工前提で考えられた作画ということも絵の価値を高める大きなポイントです(だからこんなにハマっているんだなあ)
山羊座というとただの山羊の姿ではなく下半身が魚という一風変わった特徴もあり、その要素を印象的に取り入れて基調色にも採用しているのが”十二星座”のテーマを忠実に踏襲していて素敵です。
細やかなモチーフを丁寧に配しながら、一目でキャッチーな美しさかわいさの印象を与えられるのがお上手…!

シラカセ

シラカセさんの緻密な線の表現にはいつも度肝を抜かれているのですが、今回も例に漏れず細やかな技術を堪能させていただきました…!
紙の地を上手く活かし、山羊の白を再現しています。落ち着いた赤色が白の中に映え、更にバーガンディのマットでしっとりとまとめられた作品はとても存在感がありました。
山羊座の特徴的な魚の尾により、浮遊するような姿と 背に纏った異国的なの布が面白いシルエットを作り出しています。
無機質な表情も相俟って、どことなく異質な雰囲気に。
ここで『山羊の子』というタイトルを見返すと、この子はなんだか神童のような、人間離れした神聖なイメージさえ感じました。
至るところに描かれた細やかな柄がとても見事で、纏った布の内側にも柄が描かれているのが銀河のようで美しく、不思議な感覚になりました。
一見繋がりがなさそうに見えるドローイングも山羊座に関するモチーフが詰め込まれており、見ていて飽きません!

梅小花

夢の中のような、あたたかい日差しを感じるやわらかな作品を描かれる梅小花さん。
これまで小さめの作品が多い印象でしたので、今回大きな額に雄大な世界を描かれた作品と対面して少し驚くとともに、私が梅小花さんに感じていた技術の幅をぐんと押し広げてくれました。(元々力のある方だと感じていたのはもちろんですが、今回で更にその印象が大きくなりました…!)
このサイズ感のモチーフを詰め込むとガチャガチャしてしまいがちですが、特有の白の幅の広さで、たっぷりの布や雲をキラキラと散らしてもうるさくない、それでいて多幸感の広がる画面に仕上げています。
“山羊座の郵便屋さん”というタイトルからも分かる通り、よく見ると画面の右手前にポストがあり手紙が舞っています。
神話における”山羊座”の設定をしっかり取り入れながらも、現代の”山羊”のイメージも両立しているのが面白いのです。
優しく愛らしい作風で、独自の世界観を表現し続けているのが素敵です*

〈 水瓶座 〉

ハラダリヤコ

いつもオシャレで洗練された作品を生み出し続けているリヤコさん、今回も魅惑のリヤコワールドに見る者を誘ってくれました!
本当に テーマやモチーフを自分のフィルターに通すのが上手いなあとしみじみ感じます。
水瓶座の神秘的な雰囲気をしっかり表現しながら、登場人物の衣装がモダンチックだったりよく見るとシノワズリ的なイメージが入っていたりと…
瀟洒な作風からひしひしと感じるファッショナブルさ。とてもセンスを感じます…!
ご自身も気に入っていると仰っていましたが、水瓶から魚が溢れ出てるのもユーモアたっぷりで面白いです。笑(なんとも言えない顔もクセになります)
モチーフたちと背景で、アプローチの差があるのも絵に深みを出すポイント。
シャープな線的表現と、滲んだような夜空と雲の対比がまた素敵です。
サブ作品では水瓶と魚、蠍座も!このキャラクターセンスが面白くて、軽やかなタッチも良い。

リヤコさんの描く動物たちのジトっとした目がすごくかわいい…!笑

小倉さつき

“水瓶”という水的なイメージからは少し意外性のある、暖色でまとめられたとても癒し感のある作品です*
ただでさえ星座=夜空の連想からか青系の作品が多いので、シンプルなオレンジ系の色味がとても印象的でした。
よく見るとその中にも多重奏のように色味の変化が重なっていて、鈍いグラデーション的な表現がとても美しいです。
不死の酒(ネクタール)を給仕するための水瓶という説があるので、恵をもたらすイメージが個人的に当て嵌まりました。
女の子の表情もとても穏やかで、水瓶の口から漂う霞や小花のようなホワイトからも、そんな慈愛に満ちた心優しい雰囲気をこの絵に感じました。
素朴な木製の額も、やわらかで穏やかな感じを更に高めてくれていますね!
良い意味で気の抜けた感じが逆に目を引きますし、観ていると時の流れがゆっくりになったような感覚があります。
ホッとするような安心感を与えてくれる作品です*

Pione

Pioneさんとは以前から個人的に親交があるのですが、ご本人が身の回りや衣服に感心が強くとてもオシャレなのが絵にも明瞭に現れていると思います。
ご自身が愛好されているアンティークやヴィンテージのイメージを作風にも投影し、センスフルながらも豊かな愛を感じる安心感があります!
星座の神話との結びつきを作風を通して上手く表現し、しっとりと落ち着きがありながらも華やかな作品を生み出してくださいました*
かわいらしい絵柄の人物と古典的なモチーフの同居が新鮮ですし、作家の唯一性にも繋がっているような気がします。ポスターやパッケージのような意匠も相俟って、煌びやかな雰囲気です*
衣服がお好きというだけあって人物の衣装にもこだわりを持って描かれているのが伝わります。なんとアクセサリーもご自身で作られるセンス!グッズとして出品頂いたイヤリングが、メイン作品の女の子がしているものと同じという結びつき。とっても凝っていますよね…!

〈 魚座 〉

hale

haleさんの独特のファンタジックな世界観が遺憾無く表現されたこだわりの感じられる作品です。
一目見て、額を斜めにして使うという発想にも驚きがありましたし、デジタルプリントの絵の上に、更にアクリルに印刷された絵を重ねるというとても面白いアイデア。
普段からとてもこだわりが強いとお聞きして、なるほどなあと納得。この発想はなかなか他では見られません…!(こんな斬新な作品を間近で見られて興奮しました!)
デジタルで制作される方にとって、展示会はどうしても不利になりがち(原画という概念がないですから)
しかしその逆境を上手く使い、デジタルだからこそ現物として出力したときに映える作品を制作してくださったことに敬意を表したいです。
微妙に変化し続ける青色のニュアンス、思わず海に思いを馳せてしまうような美しさ。
切なげで意味深な表情の魚の人に釘付けになります。
haleさんの世界の星は今回もまた一際輝いていました…!

ましゅまろ ここあ

ましゅまろ ここあさんの描かれるふんわりとやわらかな質感、夢幻的なカラーリングに思わずかわいい!と叫びたくなりました…*
ひたすらにかわいらしい、とってもやさしい作風。(作家名からもう分かる愛らしさ…!)
ドローイングでは力の抜けた淡い線や色味が、童話の世界のような雰囲気を醸し出していますが
メイン作品ではまた打って変わって青色の多層的な重なりや、しっかりと細部まで描き込まれた画によって、確かな技術があることを感じさせてくれました。
鮮やかな青色の夜空の中にも色んな表情や深さがあり、丁寧に丁寧に制作されたポジティブな印象が伝わってきます。その中にパッと華やかに浮かぶ魚の少女、優しいけれどしっかりと輝く星のような存在…!
お洋服もひらひらと、魚のヒレの軽やかなイメージを投影していてかわいらしいですね。
お菓子のような白の額、ディープブルーのマットも絵にピッタリで素敵です。

ドローイングでは牡羊座・乙女座を描いてくださいました*
リラックスできるようなぬくもりを感じられます。

以上、ゾディアックインマイルーム出展作品のご紹介でした。
素敵な作家様方と一年の締めくくりを盛会で終えられたこと、とても幸せに思います!
2023年も面白い展示会をたくさん開催したいと思っておりますので、どうぞお楽しみに。
来年もどうぞよろしくお願い致します。
誠にありがとうございました*

TEAVRIL 砂川